公教育の無償性を実現する――教育財政法の再構築

シリーズ新福祉国家構想2

世取山洋介・福祉国家構想研究会編

 

2012年8月刊行

 

46版520ページ

 

税別2900円

 

教育財政・条件整備制度の歴史を根本的に見直し、教育的必要を満たす制度の骨格と財政量を提示。教育財政法の新たな地平を拓く。




目次

序章 教育という現物給付(世取山洋介)

1 本書のねらいと視点

2 教育における国の現物給付義務

3 給付水準を確定する原理

4 学校制度法定主義の意義と到達点

5 学校体系基準の原理と構成

6 学校設置基準の原理と構成

7 財政移転制度をコントロールする共通基準法の必須性

8 本書の構成と用語法

     

第Ⅰ部 教育条件整備基準の確立

 

第1章 教育条件整備基準立法なき教育財政移転法制――成立、展開、そして、縮小と再編(世取山洋介)

1 戦後教育財政移転法制史の時期区分

2 教育条件整備基準立法なき三層型教育財政移転制度の成立

3 与党政治支配下での三層型制度の展開

4 新自由主義にもとづく三層型制度の収縮・解体と再編

5 戦後日本教育財政移転法制史の教訓

 

第2章 現代における教育条件整備基準解体の枠組みと手法―一九八〇年代半ばから現在(谷口聡)

1 目的、分析対象、分析視角

2 一九八〇年代半ばにおける教育条件整備基準解体構想の発出

3 一九九〇年半ば以降の教育条件整備基準解体政策をめぐる相克

4 民主党政権の新たな教育条件整備基準解体構想

5 大阪府における新たな教育条件整備基準をめぐる新たな動向

6 教育的必要充足の原則にもとづいた教育条件整備に向けて

 

第Ⅱ部 教育条件整備基準の内容と問題

 

第3章 学校設置基準と学校統廃合の教育財政学的検討(山本由美)

1 日本における学校設置基準と学校統廃合

2 学校設置基準法案による可能性から市町村合併・統廃合へ

3 昭和の大合併と学校設置基準

4 一九七〇年代の過疎地における学校統廃合と教育的なUターン通達

5 新自由主義教育改革のもとでの学校統廃合――平成の大合併と学校選択制

6 小中学校の設置基準の設定と教育条件の規制緩和

 

第4章 学級定員基準とその仕組み(山﨑洋介)

1 本章の課題

2 学級定員基準・教職員定数と教育財政制度の仕組み

3 学級編制と教職員定数

4 学級編制と教職員配置を支える教育財政制度

5 まとめにかえて――「本当の三〇人学級」実現のイメージ

 

第5章 教員給与の法的仕組みと問題(高橋哲)

1 本章の視角と課題

2 公立学校教員給与の基本原則

3 教員給与をめぐる特別立法――給特法と人確法

4 「国大法人整備法」による国立学校準拠制の廃止

5 東京都における教員給与制度改革

6 まとめにかえて――教員給与をめぐる制度論的課題

 

第6章 教材整備に関する基準の展開と問題点(福嶋尚子)

1 本章の目的および枠組み

2 義務教育費国庫負担下の教材整備政策

3 地方交付税法下の教材整備政策

4 教材整備のナショナル・スタンダード保障のための制度原理

 

第Ⅲ部 公教育の無償性

 

第7章 子どもの貧困と学校教育(後藤道夫)

1 低所得子育て世帯の急増と経済的困窮の増大

2 日本の支配的常識における「子どもの貧困」理解と学校教育

3 学校教育における「必要充足」原則と「混合教育」脱皮の必要性

 

第8章 教育における公費・私費概念――その日本的特質(石井拓児)

1 問題意識と課題――福祉国家型社会構想と教育費

2 日本における公費保障・私費負担の異常とその構造

3 日本における「公教育費/私教育費」概念の再検討

4 戦後日本における子ども・青年の生活保障制度

5 新福祉国家構想の理念と公教育費のあり方

 

第9章 学修費における私費負担の現状(小澤浩明)

1 問題設定

2 義務教育制度における私費負担の現状

3 学修費における公費・私費負担の実態調査

4 義務教育費の完全無償化へ向けた提言

5 結論

 

第10章 私費負担軽減運動の歴史と到達点――教育財政の民主主義的・教育専門的統制(田中秀佳)

1 教育条件整備の不備・欠如、その反作用としての教育運動

2 学校レベルでの個別的要求の萌芽

3 自治体レベルでの要求の共同化

4 全国的な包括的条件整備運動の拡大

5 教育財政における地方自治の確立――北海道稚内市における学校予算の「地域教育経営」

6 教育の無償化としての私費負担軽減運動

 

第11章 公教育の無償性と憲法 (世取山洋介)

1 問題の所在

2 憲法二六条二項後段をめぐる日本の法制、判例と学説

3 国際人権法における公教育無償化義務

4 憲法二六条の再構成と学説の再吟味

5 現状の評価

 

終章 公教育の無償性を実現する新しい法制の骨格(世取山洋介・高橋卓矢・岩井桃子)

1 公立小中学校に適用される新しい法制の基本的な考え方とその骨格

2 新しい法制を実施するために必要とされる費用

3 残された課題としての私学助成の組み替え

4 新しい法制のもとにおける公教育の水準

 

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執筆者

編者・世取山 洋介(よとりやま ようすけ) 1962年生まれ 新潟大学
谷口 聡(たにぐち さとし) 1959年生まれ  和光大学
山﨑 洋介(やまざき ようすけ) 1962年生まれ 奈良市立小学校、ゆとりある教育を求め全国の教育条件を調べる会事務局
高橋 哲(たかはし さとし) 1978年生まれ 埼玉大学
福嶋 尚子(ふくしま しょうこ) 1981年生まれ 東京大学大学院生
後藤 道夫(ごとう みちお) 1947年生まれ 都留文科大学
石井 拓児(いしい たくじ) 1971年生まれ 愛知教育大学
小澤 浩明(おざわ ひろあき) 1965年生まれ 東洋大学
田中 秀佳(たなか ひでよし) 1977年生まれ 名古屋大学大学院生
高橋 卓矢(たかはし たくや) 1986年生まれ 新潟大学大学院生
岩井 桃子(いわい ももこ) 1987年生まれ 元新潟大学研究生

※肩書は刊行当時のものです。

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書評情報

『経済』2013年3月号 評者:三輪定宣 

『東京大学大学院教育学研究科教育行政学論叢』33号(2013年)、評者:村上祐介

 

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